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02.神話は成層圏で生まれる2

地球・惑星パラダイムシフト

コペルニクス以前の神話の作用

 次の図は感覚的なものですが、「神話は成層圏で生まれ」その後、地上に神話が浸透していく作用を描いたものです。地球とは、私たちの足元にあるこの星(固体)ですが、厳密な意味での地球とは、それを取り囲む成層圏等の層(気体)を含めて「地球」と呼ばれ得るもののように感じます

神話浸透イメージ図

あたりまえですが、成層圏によって、人間は、肉体を持って地上に生存することができます。空気の層を保持させ、地上での呼吸を可能にします。成層圏が保護膜のように地球をすっぽり包むことで、ヒトは生きることができます。

 上記の観点を別の角度から眺めると、「神話が成層圏で生まれる」という意味が浮かび上がってくるように思われませんか。成層圏が、物理的に地球の人間たちの生存を守っているようなことが、神話の作用という神秘学的な意味合いにおいても、私たち人間を分け隔てなく守っているのではないか…と。

 私たちが神々を想う時、手を合わせ、自然と「天」を仰ぎますよね。神様に何かお願いごとをしたい時も、私たちは「天」に祈ります。世界中で、神は「天」に存在するということを、古代より連綿と神話によって語り継いできたからでしょうか。

 「天」というのは、本来的には、成層圏だけではなく、宇宙全体を差すもののように思いますが、コペルニクス以前の宗教観では、「天」と「地」はそれぞれ平面的に捉えられていましたので、天の神が「上」、地の人間は「下」という上下感覚は、現代の私たちよりも、くっきりと絶対的に分けられて認識されていたと考えられます。

【参考図】コペルニクス以前(中世まで)の世界観のいろいろ ↓

16世紀の世界地図
Jodocus Hondius/1563-1612
ダンテ アリギエーリ (1265-1321)
「Divina Commedia」

 地球は丸くなく、重力も成層圏も発見されていなかった時代、現実的に「天」と言えば、現代の私たちが捉えているような宇宙像ではなく、絶対的ではあるけれど平面的に「上」にある天空のこと。古の人々にとっての漠然とした天(=上)の認識とは、もっと近く、ちょうど成層圏あたりに照準を合わせていたものとするのが妥当なことのような気がします。そして、そこに、古代人たちは神々の世界(神話)を想起していたのではないでしょうか。

大昔、こんなイメージだったのでは?

 このように、私たち人間は、神話を映し出すことで、成層圏の作用を内的にも受け取っていたと思われるのですね。これが「成層圏で神話が生まれる」という意味です。

 ここまでがパラダイムシフト以前の背景となるもので、地球という惑星の神秘学的な在り方ではないかと、私は考えています。要するに、従来式の地球の調和というのは、人間側が「外側」に向けた神々への敬虔さによって均衡を図っていたと考えられるのですね。
 一方、「地球が変容を起こす(=パラダイムシフトする)」というのは、この在り方は消える、なくなる、ということ。つまり、成層圏が発見されたことによって、ヒトの感覚において、神話の位置が変化し、同時に神話の作用も変わってしまうのだということと感じています。引き続きお話ししていきましょう。

ヒトの感性の変容期と惑星のパラダイムシフト

 宇宙が、天地二層に見えていたころは、天に神々の世界「神話」を、古代の人々は映し出していたのではないか、と述べました。神々は「天=上」に存在し、「地=下」である人間界に浸透するというイメージを人々は持ちました。つまり、「すぐ上」に神がいて、「下」にいる我々ヒトを教え諭します。そういう構図が、いずれの国でも政治の黎明期に発生しました。

 日本なら卑弥呼や聖徳太子のような統治です。「上」の世界に通じる人が出現し、我々「下」の世界に、「上」の世界観を伝えます。私たち「下」の人間は、意識的にも、あるいは無意識的にもその影響を受けてきたことでしょう。天(≒神)は身近な割に、絶対的な上位存在として、私たち人間の感覚に染み付いていたわけです。多くの国で、宗教が権威的であるのは、そんな人間の優劣感覚を映し出したものであるとも言えそうに思えます。

 一方で、天文学が明らかにしてきたことによって宇宙論も発展し、宇宙をより大きく捉え、地球とは、数えきれない星の一つに過ぎないという認識を、現代人はだれしも持っていると思います。ですから、宇宙 対 地球について「天と地」というどこまでも並列な上下関係があるような捉え方は、だいぶん希薄になってきているのではないでしょうか。

 上下というより、「大小」。しかも圧倒的な「大」。それが「宇宙」です。「大」は、「天」と同じく上位を示しはしますが、圧倒しすぎているために、身近にいて諭される従来の「神」的な上位存在という何かとは、全く違った感覚を覚えませんか?

 人格を持った神様というより、不動なる「秩序」というような。そんな大いなる秩序の中に、神と人の両方が含まれている感覚。それは、「神話」と「人間」が、ずっと並列の二層のままで、両者の間には絶対的な隔絶があるような感じとは、趣が異なりますよね。地球側の「小」の方に含まれ、地球を「取り囲み」、つまり守りながら惑星と一体になっている感覚の方が、近いのではないでしょうか。

 繰り返しますが、かつて、神話は絶対上位の立場で、下位にいる私たち地上の人間の「上」に君臨していたわけですが、コペルニクスの地動説で天球という限りある殻が破られ、宇宙の見え方が大転換したことで、神話の位置も大転換の序章に入っていったように思います。

 神話の位置とは、今まで述べてきたように、成層圏の内的な作用ということになりますが、それは、古代においては、神話が上空で繰り広げられ、それによって地球(と地上の人間)は保護されているような感覚だったのではないでしょうか。天に対して自然に沸き起こる敬虔さ、それによって神なるものとの統合、一体感に誘われるという作用。「神は、厳然として『在る』。そして、神話が起こっている」ことを、太古の人々は実際に目にし、肌で感じていたのかもしれません。

 前頁で述べたように、いろんな方の(それも一般の人)お話しから、現代人も、古代人と同じような感性を有している場合も多いのです。ただ、おそらくですが、現在はヒトの感性の変容期に当たっているように感じます。それが、地球惑星自体のパラダイムシフトです。このパラダイムシフトは、ヒトの感性の方が先で、それが引き金となり惑星が変容していくのか、惑星が変容するのが先で、それに影響を受けたヒトが変わっていくのか、どちらが先かはわかりませんが(個人的には、前者のように思ってはいるのですが……)現在は、双方が影響をし合ってシフトを起こしているような気がしてなりません。

神話を必要としない星

 改めて、時系列に沿って、天文学的発見と地球のパラダイムシフトの流れを見ていきましょう。一六世紀の初めにコペルニクスの地動説の提唱により、それは、神秘学的な意味でも、惑星のパラダイムシフトの幕開けとなったように感じます。ただその段階では、まだまだ古い在り方が踏襲され続け、本当のこと、あるいは、感じたことを「言ったら殺されるかもしれない」という怖れの時代が長く続いていたことでしょう。神の概念を変えるものは、異端として迫害されてしまう時代だったようです。

 約百二十年前に成層圏が発見された(1902年)あたりからは、惑星のパラダイムシフトはゆるゆると現実味を帯びてきたのではないでしょうか。要するに、宇宙は二層であり、神話側と人間側が、絶対的に隔てられているという感覚からの離脱。神話の世界は(むしろ)地上側に属しており、誤解を覚悟で述べると、神話は消失したと言えるのではないでしょうか。

 消失というと衝撃的ですが、人と神はそもそも一つで分離なく、さらに大きな宇宙の秩序の一環であるということと言い換えられます。神に守られるという発想の終焉を意味し、自らの中に神話を発見する人間の時代の到来とも言えるでしょう。

 また別の角度からは、古い惑星での神話の在り方が、やがてヒトに浸透した結果、ヒトと神は一体になってきたと解釈する人もいるかもしれません。いずれでもかまわないと思います。今まで、縦横無尽に天空を駆けていた神々を、「外」の世界で起こっていることと見なしていた私たち人間の分離感が消えるということですから。

 神々の世界が「ヒト=ワタシ」に浸透すると、外に起こっていることではなく、内面にダイナミックに起こっていると見えるようになるでしょう。夢の中で、神話が、ただ展開しているだけだと気づくと、外にそれが見えなくなります。

 後はもう、加速度を付けてヒトの感性の変容が起こり、そのまま地球惑星は、今までとは全く違ったふうに見えるようになるのかもしれません。成層圏の神話作用が消えることで、地球は、広い宇宙に「剥き出し」の状態になります。成層圏の神話作用というのは、地球にとって、母体の中の羊水のようなものなのではないでしょうか。ですから、胎内では絶対に必要ですが、生まれ変わったあとは、まったく不必要になるものです。人間が生まれ落ちるや否や、一瞬にして、羊水が不必要になるのと同じことです。

 神話を必要としなくなる星の誕生です。惑星はパラダイムシフトを起こし、いわば、別の星になります。現在、大勢の地上人たちが、別の星に移行中かもしれません。

【03に続く】


 

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著者について

Author:mi-ke
岩倉ミケ:奇想庵主宰
京都タロット宙のメサージュ ®創始者
ヘナチョコ神秘学講師
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